夫婦間のコミュニケーションのすれ違いを“脳の性差”で説明する『妻のトリセツ』(講談社+α新書)が現在ベストセラーになり話題となっている。

 

 

編著者は人工知能研究者である黒川伊保子さん、累計部数はなんと約35万部に達したのだという!

著書では「女性脳は、半径3メートル以内を舐めつくすように“感じ”て」「女性脳は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)が男性と比べて約20%太い」など、男性と女性の脳の機能差を示すような具体的なデータを出しつつ、「いきなりキレる」「突然10年前のことを蒸し返す」など夫が理解できない妻の行動の原因を脳の性差と結びつけ「夫はこういう対処をすべし」と指南する内容となっている。

これに対して、脳科学や心理学が専門の四本裕子東京大准教授は、「集団を比較した平均値の差をもって、男性の脳はこう、女性の脳はこうと一般化することはできない。また、脳は個体差が大きく、さらに環境や教育など様々な要因から影響を受けて変わる。ひとつの因果関係だけでは説明できない」と指摘。

また、『なぜ疑似科学を信じるのか』著者の信州大学教授(認知心理学)の菊池聡さんは、「夫婦間の問題に脳科学を応用する発想は、科学的知見の普及という意味では前向きに評価できる。だが、わずかな知見を元に、身近な『あるある』を取り上げて一足飛びに結論づけるのは、拡大解釈が過ぎる。ライトな疑似科学に特有な論法だ」とも指摘。

さらに菊池さんは、「人間は、因果関係を明らかにしたい志向性や、複雑さを避けたい思考のパターンを持つ。疑似科学は分かりやすさを求める人々のニーズに応えるため、支持を集める。血液型性格学や水からの伝言など枚挙にいとまがない」とも続ける。

昔から尽きない人間関係の悩みだが、現在は「脳」という言葉を使うと解決策として信頼される傾向にあるらしく、実際に“論理的に誤りがある科学記事”を被験者に見せたところ、脈絡のない脳の画像を挿入するだけで記事への信頼度が高まったという実験もあるのだそうだ。

脳科学の分野は、昨今メディアにも多く取り上げられ話題にはなっているだけに、このような安易にデータを分析し指南するという一説を信じやすい傾向にある。

様々な情報が飛び交う時代に参入している現在、各読者が自身の想像力と思考力を持って、各著書と対峙する姿勢がますます求められるのではないだろうか。

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参照・画像出典:妻のトリセツが説く脳の性差 東大准教授は「根拠薄い」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
参照・画像出典:妻のトリセツ (講談社+α新書) | 黒川 伊保子 |本 | 通販 | Amazon








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